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ピロリ菌

ピロリ菌感染

Helicobacter Pylori 胃がんの発生リスクになる目に見えない細菌です

下記に該当する場合はピロリ菌に感染している可能性があります。

  • 上下水道が今ほどには整備されていない環境で幼少期を過ごした
    昭和生まれ、発展途上国で幼少期を過ごした、など)
  • 井戸水を飲んでいた。
  • 血縁家族にピロリ菌感染者がいる
    (離乳期などに口移しで食事を与えてもらったりするとリスクになります。)
    (ご兄弟がピロリ菌をお持ちであった場合は、幼少期の環境が同じであることから可能性があります。)
  • 胃がん、胃潰瘍、十二指腸潰瘍と診断された家族がいる
    ご家族がピロリ菌をお持ちであった場合は、上述の理由から可能性があります。)
  • ピロリ菌の除菌治療を過去に行った経験がある
    (除菌後にピロリ菌が消えたかどうかの判定をした覚えがない方は要注意です。)

 

ピロリ菌ってなに?

ところでピロリ菌ってなに?

ピロリ菌とは、唯一ひとの胃の中に定着することができる菌のことで、その形からヘリコバクター・ピロリと名付けられました。(螺旋状という意味)
成人の成熟した胃には住み着くことができませんが、幼少期の未成熟な胃に入ると定着することができます。
つまり感染はほぼ幼少期(6歳未満)に成立しています。大人になってからの感染はほぼありません。ピロリ菌は胃に定着し、様々な悪影響を及ぼします。 

ピロリ菌に感染しているとどうなる?

ピロリ菌に感染している場合、胃がん・胃潰瘍・十二指腸潰瘍といった病気になる可能性が高くなります。また、慢性の胃炎を引き起こし、萎縮性胃炎という状態になります。
これは胃の粘膜が萎縮性変化というものを起こしてしまい、胃酸分泌能の低下に繋がります。胃酸分泌が低下すれば、食事などを通して入ってきた雑菌の殺菌能が弱まり、腸内環境の悪化に繋がります。腸内環境の悪化は免疫力の低下や皮膚のトラブルに繋がり、情緒不安定になったり、様々な病気を引き起こす原因にもなります。
また、刺激物や脂質の多いものなどを食べ過ぎたときには通常であれば胃がもたれたりしますが、ピロリ感染がある場合は胃酸分泌能が低下しているためにあまりそういう感覚には陥りません。つまり摂食行動にブレーキをかける生体本来の防御機構がうまく機能しないのです。ピロリ菌は我々の体に様々な影響を与えているのです。

再感染ってあるの?

再感染は以下のケースを除いてほぼありません。

  • 毎日タバコを吸っている
  • 毎日飲酒をしている(缶ビール350ml以上)

ピロリ菌は幼少期の未成熟な胃には定着することができますが、成人の成熟した胃には定着することができません。  

でも、再感染してますと言われたのですが?・・・

よく伺うお話ですね。
「除菌後に再感染をした」、とかいうお話を伺うことはありますが、上記の理由に当てはまる場合を除いては「再感染」はあまり考えられることではありません。
大抵はもともと除菌後の効果判定にエラーがあったか、あるいは除菌は成功しているのに関わらず、ピロリ菌がいると誤った診断をされています。

誤った解釈の原因とは?

本当はピロリ菌を除菌できていないのに除菌成功したと解釈されてしまったケース
除菌後効果判定のエラー
  • 除菌後から十分に期間を開けないで効果判定の検査をしてしまった
  • 効果判定の検査前に PPI(プロトンポンプインヒビター)という胃薬を飲んでしまった。
除菌には成功して本当はピロリ菌は消えてしまっているのに、ピロリ菌がいると誤った判断がなされたケース
人間ドッグ等の血液検査のオプションで「ピロリ菌抗体検査」で「陽性」と結果が出た

除菌して間もない頃に血液検査でピロリ菌の抗体価を調べたところ数値が高く、ピロリ菌がまだいると言われました。どうしてですか?
抗体価というものは時間をかけて低下していきます。除菌してまもない頃に測っても意味はありませんし、除菌後の効果判定には用いるものではありません。

かなり昔に除菌成功したはずなのに健診・検診やドック等の血液検査で抗体価が高く、ピロリ菌陽性と言われました。どうしてですか?
血液検査のヘリコバクターピロリ抗体というものを測定した際に、以下のようにわけることができます。

抗体価:10U/ml以上 ●陽性(まずピロリ菌います)
抗体価:3U/ml以下 ◯ほぼ陰性(ほぼピロリ菌はいません)→☆ほぼというのは100%ではないということです。あとで解説します。
抗体価:3U/ml以上10U/ml未満10U  ◉グレーゾーン
(どちらとも言えず10人にひとりくらいはピロリ菌います。)

大事! ◉グレーゾーンをどう解釈するか
◉グレーゾーンに入った場合、結果表には「ピロリ菌が検出された」と記載されることがあります。健診・検診やドックの性質上、病気を拾い上げることが重要視されるためにこういう結果がでることが多くあります。
正しくは、「ピロリ菌がいる可能性があります」と記載すべきです。
当院ではこういうケースでは必ず内視鏡検査所見を重視してピロリ菌の有無を予測し、必要時には必ず別の方法でピロリの有無を再検して確認することにしています。

最後に
ほぼ陰性の解説です。
ほぼというのは100%ではないということです。0.8%(1000人中8人)にピロリ感染が見られます。(胃がんリスク層別化検査運用研究会 データ参照)
このようなデータからやはり内視鏡の所見というのはとても重要であると言えます。

ピロリ菌に感染している場合、どういった症状が出るか

 ピロリ菌に感染しているのみでは症状が現れることはありません。
ピロリ菌感染している胃は萎縮性変化という胃の粘膜の変化を起こし、胃酸分泌能力が低下しています。胃酸分泌能力が低下している人は食べ過ぎでももたれるようなことが少なく、食べ過ぎても平気なのです。一方でピロリ菌のいない正常な胃の人は胃酸過多になりやすく、刺激物を食べ過ぎたりすると胃もたれしたり胸焼けを起こしたります。
「刺激物をあまりたくさん食べ過ぎないように」と体が危険信号を出しているのです。
ピロリ菌をもっているひとは正しい胃の制御機能が失われるため胃に徐々に負担がかかっていきます。
何食べても平気な人はかえって注意が必要です。ピロリ菌がいるかもしれません。
ただし、ピロリ菌がいることで現れる症状もあります。
ピロリ菌感染により潰瘍や胃がんなどの消化器疾患が誘発されることで、様々な消化器症状が現れます。胸やけ・胃もたれ・みぞおちの痛み・胃酸の逆流・腹部膨満感などがあります。
また、ピロリ菌がいることによる胃酸分泌の低下は腸内環境にも影響を与えます。
ウイルスや細菌の増殖を抑えたり殺菌する能力が低下しますので、感染性腸炎にかかりやすかったり、無駄な細菌が増殖し、腸内環境が悪化しやすくなったりします。このことから異常なガスの発生による腹部膨満感や便秘・下痢になどの症状にもつながっていく可能性があります。この異常なガスはアンモニア含まれており、口臭の原因にもなります。原因不明の口臭で歯科でもわからず当院で胃カメラ検査でピロリ菌が陽性で除菌治療したら口臭が軽減された患者さんもおられます。
またSIBO(小腸内細菌異常増殖)という小腸内に存在する細菌が過剰に増殖してしまう疾患が最近知られるようになりましたが、ピロリ菌の存在もこの原因のひとつになりうるようです。
SIBO;過剰に増殖した細菌と食べ物による過剰な発酵からおなかが張って苦しい・下痢、便秘といった過敏性腸症候群に特徴的な症状を引き起こす。 

ピロリ菌に感染しているかはどうやって判断するの? 検査方法は?

ピロリ菌感染の検査方法は大きく<内視鏡を使用する方法>と<内視鏡を使用しない方法>の2つに分かれます。
当院ではまず内視鏡検査を行いピロリ菌の有無を診断します。
より詳しいお話をすると、ピロリ菌が現感染しているのか過去の感染なのか、ピロリ菌に暴露されたことのない胃なのか、といったところまで予測を立てます。
その上で検査必要と判断した際には血液検査でピロリ菌の抗体価を測定します。
(状況によっては他の方法で検査します。)
ピロリ菌がいれば除菌治療(ピロリ菌を除菌する治療)を行いますので、その後ピロリ菌が消えたかどうかの治療効果判定を尿素呼気試験という精度の高い検査で判定します。(除菌薬内服終了後から約1ヶ月後から)。いわゆるピロリ菌がいなくなったかの答え合わせです。

ピロリ菌はどうやって除菌するのか? 

ピロリ菌に感染していることが確認出来た場合には、ピロリ菌を除菌する治療を行います。ピロリ菌の除菌には以下の薬を朝夕2回で7日間服用します。

  1. P-CAB(カリウムイオン競合型酸ブロッカー):強力に胃酸を抑える薬
  2. 2種類の抗生物質
  3. 食事指導

酒・タバコは1週間やめる。
刺激物は採りすぎないようにする。
暴飲暴食はしない。
この工夫で全然成果が違ってきます。

一度目の除菌(一次除菌)で上手くピロリ菌を除菌できなかった場合には、服用する薬を変更して二度目の除菌(二次除菌)を行います。
それでも消えなければ3次除菌を行うこともありますが、こちらは自費になります。

ピロリ菌に感染している可能性がある方は、お気軽にご相談ください

もしピロリ菌に感染している場合には、上述のように胃がんや胃潰瘍・十二指腸潰瘍を発症するリスクが高くなる危険性があります。
また、ピロリ菌の診療や治療はきめ細やかさがとても大切です。
ピロリ菌感染に心当たりのある方はぜひ一度当院にてお気軽にご相談下さい。

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