初めてでも怖くない!大腸カメラの受け方と注意点
はじめて大腸カメラを受ける多くの方は、「痛くないのか」「事前準備が大変なのでは?」といった不安を抱えがちです。しかし、大腸カメラは大腸がんなどの重大な疾患の早期発見、そして治療へとつなげるために欠かせない重要な検査です。
本記事では、「大腸カメラでわかる疾患」「検査のタイミング」「大腸カメラの流れ」について解説します。
1.大腸カメラとは?
大腸カメラとは、細長いスコープを肛門から挿入し、大腸内部の粘膜を直接観察するためのカメラのことです。スコープの先端に取り付けられた小型カメラの映像をモニターで確認しながら、ポリープや炎症、出血などの異常はないか見つけることができます。必要に応じて、その場で組織の一部を採取(生検)したり、ポリープを切除したりすることも可能です。近年では、鎮静剤を使用することで検査中の痛みや恐怖感を軽減できる場合も増えており、思っているほど大変な検査ではないという声も耳にします。
2.大腸カメラでわかる病気
大腸カメラでは、大腸がんや大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患を診断することができます。大腸がんは初期の段階では自覚症状がほとんどなく、病気に気が付かないまま、症状が進行してしまうリスクがあるため、検査による早期発見が大切です。また、がんの前段階ともされる大腸ポリープを内視鏡で切除できれば、がん化するリスクを大幅に下げることができます。腹痛や血便、慢性的な下痢などを主な症状とする潰瘍性大腸炎やクローン病は、内視鏡で腸粘膜の状態や病変の範囲を直接確認することで、正確な診断、治療に繋がります。このような疾患は、いずれも再発リスクや進行性を伴う可能性があり、早めの段階で正確に診断を行うことが大切です。症状を初期段階で抑えたり、患者の予後を左右するケースも少なくありません。
3.大腸カメラ検査を受けるべき時期
大腸カメラを受ける際は、症状やリスクを踏まえてタイミングを判断することが大切です。便に血が混じる血便が続いたり、下痢と便秘を繰り返す腹部の不調が長期間続いたりする場合は、一見すると痔による出血に見えても、実は大腸ポリープや大腸がんが隠れているケースもあります。また、家族に大腸がんの既往がある方は、一般の方よりもがん発症リスクが高まる可能性が指摘されているため、若いうちから定期的な検査を受けることがおすすめです。
40歳を超えたら一度は大腸カメラを受けることが推奨されています。生活習慣病やメタボリックシンドロームとの関連が注目される近年、普段から喫煙や飲酒の習慣がある方は、より早めの検査が大切です。
4.大腸カメラの流れ
大腸カメラをスムーズに行うためには、検査前の事前準備が重要です。通常、検査の前日は繊維質の多い食材や油っこいものを避け、できるだけ消化に良い食事を心がけることが大切です。また、診察がしやすいように腸内をきれいにする必要があるため、夜には下剤を飲み、当日朝にも追加で下剤や洗浄液を摂取して排便を促します。病院へ到着したら、検査着に着替え、医師と鎮静剤を使用するかどうかを相談してから、いよいよ内視鏡を肛門から挿入して検査を行います。大腸の奥までスコープを進めながら、モニターに映し出される映像を隅々までチェックし、異常が見つかった場合にはその場で生検やポリープ切除を行います。検査後は、安全の確認のために院内でしばらく休憩し、問題がないと判断されればそのまま帰宅できるという流れが一般的です。
5.大腸カメラをできるだけ苦痛がなく受けるには?
大腸カメラと聞くと「苦しいのでは」「恥ずかしい」といったイメージを抱く方も多いですが、検査時の負担を軽減することは可能です。例えば、前日からの下剤の服用や食事制限を徹底し、腸内をできるだけ空にしておくことが重要です。腸内を空にすることでカメラの視界がクリアになり、診察がしやすくなります。その結果、検査時間も短縮され、不快感を最小限に抑えることができます。また、緊張をやわらげるためには、医師やスタッフとのコミュニケーションが欠かせません。疑問点や不安を事前に相談すれば、鎮静剤の使用や検査中の配慮など、より自分に合った方法を選択できます。リラックスできる衣類を選び、検査後はゆっくり休む時間を確保するなど、当日のスケジュールに余裕をもたせることも有効な対策です。
6.痛くない挿入法について
大腸カメラ検査における「挿入時の痛み」を不安に感じる方は少なくありません。しかし、近年の技術の進歩や医師の熟練した技術により、負担を軽減した検査が可能になっています。たとえば、腸を膨らませる際に空気ではなく二酸化炭素を送気することで、不快感を抑え、検査後の膨満感も軽減できます。また、「軸保持短縮法」という挿入技術を活用し、無理に腸を引っ張ることなくスムーズにカーブを通過させることで、大腸粘膜への刺激を最小限に抑えることができます。さらに、鎮静剤を適切に使用し、患者の状態を確認しながら丁寧に進める医師ほど、痛みを感じにくいとされています。実際に検査を受けた方の中には、「思っていたよりも苦痛が少なかった」と感じる方も多くいらっしゃいます。
7.検査後の注意点
大腸カメラで鎮静剤を使った場合は、しばらく休憩室で横になり、意識がはっきりしてから帰宅します。車の運転や危険を伴う作業は避け、当日は無理をせず安静に過ごすことが大切です。ポリープ切除や生検を行った場合、まれに出血や腹痛、発熱などの合併症が起こることがありますので、異常を感じたらすぐに病院に連絡することも重要です。また、ポリープを切除した場合、通常は検査後すぐに普通の食事へ戻せる場合が多いものの、切除部位の状態や体調を考慮して、医師から食事内容や安静期間について細かな指示が出ることがあります。医師からの指示をしっかり守ることで、合併症のリスクを抑え、検査後の経過観察を順調に終えることができます。
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